2022年11月22日
目次
◎油圧機器とフィルタの関係
◆油圧機器とは
◆油圧機器がトラブルに弱い理由
◆ろ過精度とは
◆油圧機器のトラブルを防ぐために求められるフィルタとは
◎深層ろ過式「CJCフィルタ」
◎用途に応じて選べるアメロイドのフィルタ製品
◆処理方式別の特長と用途
◆油用フィルタ
◆水溶液用フィルタ
◎まとめ
アメロイドの紹介
本記事では、そうしたアメロイドの油圧機器専用フィルタについて詳しくご紹介するとともに、アメロイドがラインアップする多彩な工業用フィルタについてもご紹介いたします。

油圧機器とフィルタの関係
油圧機器とは
油圧機器とは、加圧された油の力を利用して、機械の部品を動かす装置のことです。そのベースには「密閉された液体には、外部から加えた圧力が均等に伝わる」というパスカルの原理があり、この原理を応用することで、小さな力でも大きな力を生み出すことができます。
油圧回路では、ポンプで加圧された油がバルブや配管を通じて流れ、シリンダを伸縮させる、モータを回転させるといった動きに変換されます。油は圧縮されにくく、エネルギー損失が少なため、安定して大きな力を伝えられるのが特徴です。
この特性から、油圧機器はプレス機や射出成型機、建設機械、精密な制御が求められる工作機械など、強い力と精密な制御が求められる分野で広く使用されています。

油圧機器がトラブルに弱い理由
油圧機器は、高圧の油を利用して精密に作動する仕組みのため、油の汚れや性状の変化がそのまま機器の不具合に直結するという特徴があります。
特に次のような要因が、動作不良や故障の原因となります。
- 固形異物の混入
配管内のスケール、金属摩耗粉、外部からの粉塵などが油に混入すると、バルブの動作不良やシール部の損傷、ポンプの焼き付きなどを引き起こします。 - 水分の混入
結露や冷却系統のトラブルで油に水分が混入すると、錆びや油の劣化、潤滑不良による摩耗の原因となります。 - 酸化や熱による劣化生成物
油は使用するうちに酸化が進み、スラッジや酸性物質が生成され、バルブの詰まりや部品の腐食を招きます。 - 油の粘度変化や添加剤の消耗
油の性能が低下することで適正な油膜が形成されなくなり、摺動部の摩耗や焼き付きのリスクが高まります。
ろ過精度とは
ろ過精度とは、フィルタがどの程度小さな異物を除去できるかを示す指標です。一般的に「公称ろ過精度(Nominal)」や「絶対ろ過精度(Absolute)」といった表現をしますが、どちらも業界で統一された基準はなく、フィルタメーカー各社が独自のテストで規定したフィルタろ過精度となっています。
この他にも、フィルタの性能の比較に用いられる指標として「β(ベータ)値」があります。これはISO16889に基づくマルチパス法により測定されるもので、特定の粒子径に対する除去率を表します。ただし、特定の粒子径の除去率だけが優れていても、フィルタ全体の性能を正確に評価することはできません。フィルタ選定の際は、処理液の状態や使用環境に応じ総合的に判断することが重要です。
油圧機器のトラブルを防ぐために求められるフィルタとは
前述の通り、油圧機器は微細な異物や水分の混入によって、トラブルが発生しやすい機器です。これを未然に防ぐためには、次のような性能を有したフィルタを選定することが重要です。
- 微粒子レベルの異物を確実に除去できること
- 水分も吸着・除去できること
- 異物の捕捉量が多く、長寿命なろ材を備えていること
深層ろ過式「CJCフィルタ」
CJCフィルタは微粒子レベルの異物だけでなく、水分も除去できる絶対ろ過精度3μの高性能フィルタです。ろ材は特殊素材を採用しており、表面だけでなく内部でもゴミを捕捉する深層ろ過構造によって、高い捕捉性能とロングライフを両立しています。
CJCフィルタを使用することで、作動油を常に新油相当に維持することができ、油圧機器の故障率低減、保全コスト削減、油消費量削減などに大きく貢献します。
作動油向けの浄油機として業界トップクラスの導入実績を誇り、1960年の発売以来、自動車・自動車部品・建機・製鉄・船舶など、幅広い業界で採用されており、これまでの導入実績は1万台を超えています。
用途に応じて選べるアメロイドのフィルタ製品
アメロイドでは、CJCフィルタの他にも同じく深層ろ過方式を採用したフィルタや、表面ろ過方式、逆洗ろ過方式、吸着方式など、処理方式の異なる多彩なフィルタをラインアップしています。用途や処理液の特性に応じて、最適なフィルタをご提案いたします。
処理方式別の特長と用途
▶ 表は横にスクロールできます
油用フィルタ
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ROTフィルタ(深層ろ過方式)
ROTフィルタは、CJCフィルタと並び長年の実績を持つ深層ろ過フィルタです。
高粘度の潤滑油などの浄化に適しており、ろ過精度は5~25μから選択可能で、処理対象となる油の性状や清浄度の目標に応じて柔軟に対応できます。 -
APフィルタ(表面ろ過方式)
APフィルタは、表面ろ過方式のろ材を採用した浄油機です。圧力損失が少なく、大流量処理に対応。タンク内の油を短時間で効率的に浄化でき、出荷前や定修時のフラッシングに最適なフィルタです。
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ALフィルタ(逆洗ろ過方式)
ALフィルタは、余裕あるろ過面積を確保しながら精度が選べる高性能エレメントを採用した自動逆洗方式のフィルタです。捕捉した夾雑物が一定量に達すると自動的に逆洗。目詰まりを起こすことなく、長時間の連続運転が可能で、ディーゼルエンジン潤滑油の浄化に適しています。
水溶液用フィルタ
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REXフィルタ(深層ろ過方式)
REXフィルタは、洗浄液などの水溶液の浄化に適したフィルタです。外側から内側にかけて密度を高めたろ材が、粗い異物から微細粒子までを段階的に捕捉する深層ろ過方式を採用しています。ろ過精度は1~100μに対応しており、処理液の状態に応じた柔軟な選定が可能です。
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UQフィルタ(吸着方式)
UQフィルタは、油分の除去に特化したフィルタです。特殊な吸着材が水中に含まれる油分を高精度で捕らえ、分散状態の油でも効率よく処理することができます。コンプレッサドレン水などの処理に適しており、安定した浄化性能を発揮します。
まとめ
アメロイドは、油圧機器のトラブルを防ぎ設備の安定稼働を支える絶対ろ過精度3μの高性能フィルタ「CJCフィルタ」をはじめ、様々なフィルタを取り揃えています。
処理液の状態や現場の環境にあわせて、最適な機種をご提案いたします。製品選定のご相談や資料請求など、お気軽にお問い合わせください。
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