油圧機器専用フィルタの基礎知識を浄油機メーカーのアメロイドが解説

2022年11月22日

アメロイドの紹介

アメロイドは、1959年の創業以来、液体浄化装置の専門メーカーとして、ろ過・分離・蒸留などの様々な装置を開発、販売してまいりました。中でも、油圧機器専用フィルタは、その高いろ過精度により、1960年の販売開始以来60年以上のにわたりロングセラー製品として多くの業界で活躍しております。
本記事では、そうしたアメロイドの油圧機器専用フィルタについて詳しくご紹介するとともに、アメロイドがラインアップする多彩な工業用フィルタについてもご紹介いたします。

油圧機器とフィルタの関係

油圧機器とは

油圧機器とは、加圧された油の力を利用して、機械の部品を動かす装置のことです。そのベースには「密閉された液体には、外部から加えた圧力が均等に伝わる」というパスカルの原理があり、この原理を応用することで、小さな力でも大きな力を生み出すことができます。
油圧回路では、ポンプで加圧された油がバルブや配管を通じて流れ、シリンダを伸縮させる、モータを回転させるといった動きに変換されます。油は圧縮されにくく、エネルギー損失が少なため、安定して大きな力を伝えられるのが特徴です。
この特性から、油圧機器はプレス機や射出成型機、建設機械、精密な制御が求められる工作機械など、強い力と精密な制御が求められる分野で広く使用されています。

油圧機器がトラブルに弱い理由

油圧機器は、高圧の油を利用して精密に作動する仕組みのため、油の汚れや性状の変化がそのまま機器の不具合に直結するという特徴があります。
特に次のような要因が、動作不良や故障の原因となります。

  • 固形異物の混入
    配管内のスケール、金属摩耗粉、外部からの粉塵などが油に混入すると、バルブの動作不良やシール部の損傷、ポンプの焼き付きなどを引き起こします。
  • 水分の混入
    結露や冷却系統のトラブルで油に水分が混入すると、錆びや油の劣化、潤滑不良による摩耗の原因となります。
  • 酸化や熱による劣化生成物
    油は使用するうちに酸化が進み、スラッジや酸性物質が生成され、バルブの詰まりや部品の腐食を招きます。
  • 油の粘度変化や添加剤の消耗
    油の性能が低下することで適正な油膜が形成されなくなり、摺動部の摩耗や焼き付きのリスクが高まります。
こうした汚染物質は微細な粒子であることが多く、適切なフィルタを使用して油の清浄度を管理することが求められます。

ろ過精度とは

ろ過精度とは、フィルタがどの程度小さな異物を除去できるかを示す指標です。一般的に「公称ろ過精度(Nominal)」や「絶対ろ過精度(Absolute)」といった表現をしますが、どちらも業界で統一された基準はなく、フィルタメーカー各社が独自のテストで規定したフィルタろ過精度となっています。

この他にも、フィルタの性能の比較に用いられる指標として「β(ベータ)値」があります。これはISO16889に基づくマルチパス法により測定されるもので、特定の粒子径に対する除去率を表します。ただし、特定の粒子径の除去率だけが優れていても、フィルタ全体の性能を正確に評価することはできません。フィルタ選定の際は、処理液の状態や使用環境に応じ総合的に判断することが重要です。

油圧機器のトラブルを防ぐために求められるフィルタとは

前述の通り、油圧機器は微細な異物や水分の混入によって、トラブルが発生しやすい機器です。これを未然に防ぐためには、次のような性能を有したフィルタを選定することが重要です。

  • 微粒子レベルの異物を確実に除去できること
  • 水分も吸着・除去できること
  • 異物の捕捉量が多く、長寿命なろ材を備えていること
これらの条件を高いレベルで満たすのが、深層ろ過式「CJCフィルタ」です。

深層ろ過式「CJCフィルタ」

CJCフィルタは微粒子レベルの異物だけでなく、水分も除去できる絶対ろ過精度3μの高性能フィルタです。ろ材は特殊素材を採用しており、表面だけでなく内部でもゴミを捕捉する深層ろ過構造によって、高い捕捉性能とロングライフを両立しています。

CJCフィルタを使用することで、作動油を常に新油相当に維持することができ、油圧機器の故障率低減、保全コスト削減、油消費量削減などに大きく貢献します。

作動油向けの浄油機として業界トップクラスの導入実績を誇り、1960年の発売以来、自動車・自動車部品・建機・製鉄・船舶など、幅広い業界で採用されており、これまでの導入実績は1万台を超えています。

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用途に応じて選べるアメロイドのフィルタ製品

アメロイドでは、CJCフィルタの他にも同じく深層ろ過方式を採用したフィルタや、表面ろ過方式、逆洗ろ過方式、吸着方式など、処理方式の異なる多彩なフィルタをラインアップしています。用途や処理液の特性に応じて、最適なフィルタをご提案いたします。

処理方式別の特長と用途

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深層ろ過方式 表面ろ過方式 逆洗ろ過方式 吸着方式
製品 深層ろ過方式 表面ろ過方式 逆洗ろ過方式 吸着方式
方式のイメージ 深層イメージ 表面イメージ 逆洗イメージ 吸着イメージ
方式の説明 分厚いろ材を液が通過する過程で夾雑物を段階的に捕捉。 ろ材の表面で夾雑物を捕捉。 ろ材が一定量の夾雑物を捕捉すると、液体が逆流してろ材を洗浄。 特殊な吸着材が油を吸着して除去。
特長 微細な粒子を除去でき、捕捉量が多いためフィルタのライフが長い。 薄いろ材を蛇腹状に折り込んでろ過面積を広げており、微細な粒子を除去しながら大流量で使用できる。 ろ材の目詰まりを防ぎながら連続稼働ができる。 水中に分散した油分も解乳化して高精度に吸着できる。
用途 作動油、潤滑油、水グリ、防錆油、洗浄液、めっき液など 出荷前や定修時のフラッシングなど ディーゼルエンジン潤滑油、クーラントなど コンプレッサのドレン水、排水処理施設のファイナルフィルタなど

油用フィルタ

  • ROTフィルタ(深層ろ過方式)

    ROTフィルタは、CJCフィルタと並び長年の実績を持つ深層ろ過フィルタです。
    高粘度の潤滑油などの浄化に適しており、ろ過精度は5~25μから選択可能で、処理対象となる油の性状や清浄度の目標に応じて柔軟に対応できます。

  • APフィルタ(表面ろ過方式)

    APフィルタは、表面ろ過方式のろ材を採用した浄油機です。圧力損失が少なく、大流量処理に対応。タンク内の油を短時間で効率的に浄化でき、出荷前や定修時のフラッシングに最適なフィルタです。

  • ALフィルタ(逆洗ろ過方式)

    ALフィルタは、余裕あるろ過面積を確保しながら精度が選べる高性能エレメントを採用した自動逆洗方式のフィルタです。捕捉した夾雑物が一定量に達すると自動的に逆洗。目詰まりを起こすことなく、長時間の連続運転が可能で、ディーゼルエンジン潤滑油の浄化に適しています。

水溶液用フィルタ

  • REXフィルタ(深層ろ過方式)

    REXフィルタは、洗浄液などの水溶液の浄化に適したフィルタです。外側から内側にかけて密度を高めたろ材が、粗い異物から微細粒子までを段階的に捕捉する深層ろ過方式を採用しています。ろ過精度は1~100μに対応しており、処理液の状態に応じた柔軟な選定が可能です。

  • UQフィルタ(吸着方式)

    UQフィルタは、油分の除去に特化したフィルタです。特殊な吸着材が水中に含まれる油分を高精度で捕らえ、分散状態の油でも効率よく処理することができます。コンプレッサドレン水などの処理に適しており、安定した浄化性能を発揮します。

まとめ

アメロイドは、油圧機器のトラブルを防ぎ設備の安定稼働を支える絶対ろ過精度3μの高性能フィルタ「CJCフィルタ」をはじめ、様々なフィルタを取り揃えています。
処理液の状態や現場の環境にあわせて、最適な機種をご提案いたします。製品選定のご相談や資料請求など、お気軽にお問い合わせください。

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フィルタ
特徴

ミクロンオーダーのフィルタで油や水といった液体から夾雑物を除去。

フィルタ
用途

作動油、潤滑油、水グリなどの浄化。

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遠心分離機
特徴

回転で生まれる遠心力で比重の異なる物質を分離。
回転が速いほど精度が上がり細かな物質を回収できる。

用途

焼入油、クーラント、塗装ブースのスラッジ回収。

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油水分離機
特徴

遠心式:遠心力で油と水の比重差を利用して分離。
ドライ式:油に乾燥空気を吹き込み、水を取り込み回収。
コアレッサ式:ろ材に水または油を吸着させ粗粒化して回収。

油水分離機
用途

洗浄液、圧延油、防錆油などの浄化。

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排水処理装置 製品詳細はこちら
排水処理装置
特徴

遠心式:遠心力と比重差を利用し廃液から夾雑物や油を回収。
減圧蒸留式:真空を作り沸点を下げ、少ない熱量で蒸留し廃液を減容。
脱水乾燥式:遠心機で回収した有価物を薄く延ばし少ない熱量で乾燥。
フィルタ式:水に含まれる有機物を吸着してBODを下げる。

排水処理装置
用途

食品工場の排水一次処理による生物処理の負荷軽減、自社で処理できない廃液の減容、めっき工場のスラリーをパウダー化し、有価物回収など。

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切粉脱油システム 製品詳細はこちら
切粉脱油システム
特徴

切粉に付着した切削油や切削液を分離除去。
破砕機やコンベアなどと組み合わせた一連のシステム化を提案可能。

用途

アルミ、鋳物、真鍮、銅などの各種金属切粉の脱油。

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クーラント掃除機 製品詳細はこちら
クーラント掃除機
特徴

クーラントタンクの掃除に特化した装置。
タンクの液抜き不要。
水溶性・油性どちらにも対応。

用途

クーラントタンクのスラッジ回収。
クーラント液の浄化。

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