2024年12月16日
目次
◎防錆油(ぼうせいゆ)の役割
◆錆(さび)ができる仕組みとは?
◆錆を防ぐには?
◆防錆油で錆を防ぐ仕組み
◎防錆油の課題
◆防錆機能が失われる原因
◆新油への交換、廃油処理の負担
◆環境への影響
◎課題解決のためのご提案
◎導入事例
◎まとめ
金属表面に塗布することで錆(さび)を防ぐための油剤「防錆油(ぼうせいゆ)」。防錆油は、使用中に金属粉や水分などが混入すると防錆効果が低下してしまい、更油(タンク内の防錆油の抜き換え作業)せざるを得ない状況になります。しかし、精度の高い浄油技術を導入することで、この課題を解決し、防錆油の「連続使用」の道が拓けます。今回のコラムでは、この防錆油の延命化について取り上げます。
防錆油(ぼうせいゆ)の役割
防錆油とは、読んで字のごとく錆を防ぐための油です。では、なぜ錆が生じるのか、錆を防ぐには防錆油をどのように使用すれば良いのかなど、防錆油の基本的な役割についてご説明しましょう。
錆(さび)ができる仕組みとは?
錆とは、金属が空気中の酸素や水分と反応し、酸化して劣化する現象を指します。例えば鉄や鋼などの金属は、酸化すると酸化鉄という化合物を形成し、赤茶色の粉状物質として金属の表面に現れます。特に湿度の高い環境や水にさらされる状況では錆の進行が早くなり、金属の強度の低下につながります。
錆を防ぐには?
錆を防ぐためには、金属を湿度の低い場所で保管し、空気中の水分や湿気にさらさないことが重要です。金属の表面を塗装したり、亜鉛メッキやクロムメッキなど耐腐食性のコーティングを施したりすることで、酸素や湿気から金属を守る方法がありますが、金属加工の現場では次の工程があるため、「防錆油」を塗布したりドブ漬けにしたりすることが一般的です。
防錆油で錆を防ぐ仕組み
防錆油を金属に塗布すると金属の表面に油膜が形成され、金属と酸素や湿気との化学反応を防ぎ、金属の酸化=錆を抑制できます。特に金属加工の現場において、錆が発生すると製品不良につながるため、防錆油の使用が欠かせません。
防錆油の課題
金属の錆びを防ぐには、防錆油の使用が不可欠ですが、防錆油は使用環境や劣化要因によってその機能が低下し、交換や廃油処理が必要になります。この章では、防錆機能の低下を引き起こす原因や、それに伴う交換・廃油処理などの課題についてご説明します。
防錆機能が失われる原因
防錆油は温度変化や酸化などによる劣化のほか、金属や不純物の混入、水分の混入の影響によりその防錆機能は失われていきます。
- 温度変化
- 高温や低温の極端な温度変化によって防錆油の性質が変化し、劣化が進行します。
- 酸化
- 長期間使用すると酸素と反応して酸化が進みます。酸化が進むと防錆油の成分が変質し、金属を保護する能力が低下します。また、酸化した油は粘性が変り、防錆膜を形成する力が弱まります。
- 不純物の混入
- 金属加工中に発生する金属粉や夾雑物が防錆油に混入すると、油膜の均一性が失われ金属表面に十分な保護膜が作れなくなります。
- 水分の混入
- 環境や加工工程からの水分が防錆油に混ざると油膜が形成されにくくなり、防錆効果が著しく低下する上、錆の発生を促進する可能性があります。
新油への交換、廃油処理の負担
防錆機能が失われた防錆油は十分に性能が発揮できなくなり、錆の発生を抑制しきれなくなるため、使用し続けることができません。そのため、新油への交換や交換後の廃油処理は避けて通れない課題となります。しかし近年、防錆油の価格は原油価格や物流費の上昇などで値上がりが続いており、同様に廃油処理のコストも上昇傾向にあり、新油への定期交換は経済的な負担が大きくなってきました。
環境への影響
廃油の発生はコスト面だけでなく、環境面でも無視できない課題です。環境に配慮した製造プロセスが求められる中で、今後は廃油を出さない取り組みに力を入れることが一層重要となってきます。
課題解決のためのご提案
製品に錆を発生させないためには防錆油を定期的に全量または一部入れ替えし、劣化した油は廃棄するという対応が一般的ですが、この方法ではコスト削減や環境負荷の軽減、そして製品不良の改善という観点から見ると十分な対策とは言えません。これらの課題を根本的に解決するためには、精度の高い浄油装置を使用することが有効です。
当社では精度の高い浄油技術を活用した防錆油の再生システムをご提案しています。このシステムを導入することで防錆油を常に新油と同等の状態に維持できますので、錆の抑制による製品の不良改善や品質向上、コスト削減、廃油削減、そして環境負荷の軽減という課題を包括的にサポートいたします。
導入事例
アメロイドでは様々な浄油装置をラインナップしており、防錆油の状態によって最適な製品をご提案しておりますが、中でも特に浄油が難しいとされる「金属粉と水分のいずれも多く混入して白濁してしまっているケース」での事例を紹介します。
◆事例の概要
お客様 : | 機械部品製造業 |
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対象設備: | 出荷前防錆工程 (浸漬塗布) |
対象液 : | 防錆油 |
問題点 : | ①防錆油に水分が混入して白濁する。 ②防錆油に水分が混入して白濁する。 ③防錆効果が低下して製品に錆が発生する。 |
導入機種: | 遠心ドライ装置MJ型 防錆油タンクに混入した水分と金属粉の除去を目的として、遠心ドライ装置MJ型を設置。タンク内の防錆油を循環清浄させました。 |
◆導入結果
防錆油をサンプリングして分析し、油中の水分と汚染度を調べました。
結果はグラフの通り、水分、汚染度共に減少。油の白濁が取れて、防錆油に透明感が戻りました。
<油の変化の様子>
◆お客様のコメント
浄油後の防錆油をメーカーで調べてもらいましたが、防錆性能に問題ないとの判定でした。金属粉もなく油の透明感が持続されているので、防錆油を安心して使い続けることができます。
まとめ
防錆油の性能低下に伴う製品不良、新油購入や廃油処理にかかるコスト増といった課題は、精度の高い浄油技術を導入することで、効果的に解決できます。当社は多様なニーズに対応できる製品をラインナップしており、防錆油の浄化を通じて、より持続可能で生産性の高い製造プロセスをサポートいたします。
また、防錆油に限らず、その他の油の浄化や再生に関するご相談も承っており、浄油技術を活用して、品質向上や不良低減、廃油削減、環境改善などを包括的にサポートいたします。油の浄化や再生に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。専門スタッフがお客様の課題に最適なご提案をいたします。
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