【SDGsで注目】工場の排水処理で脚光をあびる遠心分離機とは? | 株式会社アメロイド

【SDGsで注目】工場の排水処理で脚光をあびる遠心分離機とは?

2022年11月22日

SDGsの浸透によって、企業の環境対策が求められる中、工場用水の排水にもよりきめ細かい配慮が必要となってきました。そこでいま注目されているのが、「遠心分離機」を使った排水処理です。

遠心分離機とは、遠心力を発生させることで固体と液体、または液体と液体を分離させる装置のことです。工場が遠心分離機を使って適切な排水処理を行うことによって、周辺の環境を守るとともに、産廃物を減らし産廃費用の削減にもつながります。

この記事では、遠心分離機を使った排水処理によって得られる効果を、活用事例を交えてご紹介します。

様々なシーンで活用される遠心分離機

遠心分離機は工場の排水処理だけでなく、食品から衣料・医薬品まで、さまざまな業種の製造工程で使われています。

例えば食品では、小麦をふるい品質を揃える工程や、油と水を分けてサラダ油を作る工程、ジュースの果汁繊維を整える工程など、食品加工のいたるところで遠心分離機が使われています。

衣料の分野でも、繊維を鮮やかな色に染める染料や、ポリエステル繊維の原料になるテレフタル酸など、ファッションの素材を作るための工程で遠心分離機が活躍しています。

また、医薬品の製造工程でも、培養液から菌体を除いてバイオ薬品を作る工程や、血漿を分画して血液製剤を作る工程など、さまざまな工程で遠心分離機が用いられています。

SDGsで求められる工場の排水処理

遠心分離機は、自動車の製造ラインや建設工事現場の排水処理にも使われています。

自動車のバンパーやシート、ダッシュボードなどのパーツには、さまざまな形で合成樹脂が使われています。合成樹脂には塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどいろいろな種類がありますが、これらを製造するときの脱水工程や、製品の分級行程には、遠心分離機が欠かせません。塗装工程に導入されている排水処理システムにも、遠心分離機が使われています。

また、トンネルや地下鉄などの工事のほとんどはシールド工法で行いますが、土砂を掘り進めたときに発生する泥水を処理するための機器などにも、遠心分離機が用いられています。

水質環境に影響を及ぼす産業排出物

汚染物質 水質環境に及ぼす影響
重金属類、
有機塩素系化合物等
微生物に対して毒性を示し、処理能力を低下させる
処理場では除去をすることが難しい物質である
下水汚泥中に蓄積するので汚泥の処理処分を困難にする
シアン 猛毒の青酸ガスが発生して管内作業が危険におちいる場合がある
微生物に低濃度で悪影響を与え、処理能力を低下させる
フェノール類 悪臭の原因となる
シアンと同様処理能力を低下させる
水素イオン濃度 他の排水との混合によって有毒ガス、悪臭ガスを発生させる
金属、コンクリート製の施設を腐食する
生物化学的酸素要求量 処理能力に限界があり、過負荷になると処理水を悪化される
浮遊物質 浮遊物が管きょ内に沈殿し、閉塞させたり又悪臭の原因となる
処理場では汚泥除去装置に過大な負荷がかかり、過負荷のため生物処理機能が低下し、処理水を悪化させる
鉱油、動植物油脂類 揮発性の鉱油類は、火災、爆発の危険性がある
粘性の大きい鉱油類および動植物油脂類は管きょに付着し閉塞の原因となる
活性汚泥に付着して酸素の供給を阻害し処理水を悪化させる
よう素消費量 管きょ内を酸欠状態にする危険性がある
有害な硫化水素を発生する危険性がある
多量になれば処理場の処理能力を低下させる

出典:姫路市上下水道局HPより一部抜粋

法的に規制されている工業排水

上記のように、汚染物質が水質環境に大きな影響を及ぼすことから、工業排水の排水基準は水質汚濁防止法によって厳しく定められています。

例えば、有害物質であるカドミウムやその化合物の許容限度は0.03mg Cd/L 、シアン化合物の許容限度は1mg CN/L、六価クロム化合物の許容限度は0.5mg Cr(Ⅳ)/Lといった形です。

さらに工業地帯のような水域に関しては、都道府県が上乗せ基準を設けているケースもあります。

かつて日本では、「水俣病」や「イタイタイ病」など、水質汚濁と環境汚染によって引き起こされた公害病が社会問題となりました。

有害物質が含まれた工業排水が川や海に流れ出してしまうと、地域の生態系にも影響を与え、魚が取れなくなるなどの弊害が発生するケースもあります。

このように工場排水の問題は、人々の健康と生活環境に大きな影響をもたらすものであり、排水する工場側としても十分な対策が求められるでしょう。

清酒工場での遠心分離機活用例

ここでひとつ、アメロイドの取引先の日本酒メーカーの事例をご紹介しましょう。老舗の造り酒屋であるこのメーカーは、生産していた日本酒が人気となり、生産量の増加によって洗米廃水が増加しました。

これによって、既存の廃水処理施設では処理しきれない排水が、河川に流出する事象が発生したのです。

対策が急務であったものの、敷地のスペースは限られており、大がかりな施設の増強は難しい状況でした。

そこでとった対策が、廃水処理施設に遠心分離機を追加することでした。一次処理用の全自動遠心分離機AS-S4を設置し、既存の廃水処理設備にかかる負荷を削減させるという方法で、洗米廃水の増加に対応しました。

これによって、このメーカーは排水の増減に対応できるようになり、大がかりな施設増強をすることなく、余裕をもった廃水処理を行っています。

過去には酒造メーカーの汚染水が問題に

造り酒屋の廃水というと、環境への影響は小さいように感じる人もいるかもしれませんが、過去には酒造メーカーによる汚染水排出事件も発生しています。

ソニーの創業者の一人・故盛田昭夫氏の実家で、愛知県の老舗造り酒屋「盛田酒造」の工場が、2014年に伊勢湾に大量の汚染物質を排出して問題となりました。

巡回中の海上保安航空基地の保安官が、工場沖の海水が茶色く濁っているのを発見し、捜査を開始。基準を超える汚染水を伊勢湾に流したとして、中部空港海上保安航空基地から水質汚濁防止法違反の疑いで家宅捜索を受けました。

調べによると、同工場は水の汚れを示す「浮遊物質量(SS)」が最大で基準値の24倍、「化学的酸素要求量(COD)」が7倍の水を工場排出口から流していたとのこと。

このような事態が発覚すると、企業の信用問題にも関わります。企業イメージを守るためにも、SDGsの意識が高まるこれからの時代は、特に汚染水の排出について注意が必要です。

酒造メーカーでの導入事例はこちらから

遠心分離機による環境にやさしい排水処理

これからの企業活動において、環境対策は不可欠ともいえる重要事項です。
アメロイドの排水処理装置は、業態に合わせてさまざまにカスタマイズができ、作業効率を改善させることもできます。

例えば「遠心脱油機UB型」は、洗浄液・脱脂液・水溶性クーラント・加工液など、各種水性液の油水分離とスラッジ(異物)除去を同時に行う、1台2役の遠心分離機です。

「遠心脱油機 UB型」に油とスラッジが混入した水性液を供給すると、油水分離して油を連続排出し、同時にスラッジを分離・固形化して本体内に貯め、清浄液を排出します。

ある食品メーカーでは、排水処理施設が半屋外にあり、原水槽液面はオイルボールが埋め尽くすように浮上していて、気温によって臭気も気になる状況でした。

遠心脱油機UB型を導入したところ、原水槽からはオイルボールが消滅し、槽内の油分なども減少。臭気も軽減され、周辺の環境も改善されました。

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